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評価:
春江 一也
集英社
¥ 720
Amazonおすすめ度:
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プラハの春〈下〉
春江 一也
日本大使館員堀江は、1967年、共産主義から自由化へと動き始めるチェコで、ある親子と出会う。美人な母親のカテリーナ、その娘のシルビア。運命を感じるが、二人は東ドイツ人でいわくありげ。そしてチェコの民主化運動「プラハの春」が始まる。
作者は元外交官で、実際にプラハの春の時、チェコ大使館勤務をされていたとのこと。
以前から読もう読もうと思っていたのだけど・・・
どうもプロローグで挫折してしまっていて。
今回ようやく読めた。
さすが現地で体験しただけあって、町並みや外交官の日常、
「プラハの春」の一部始終は臨場感たっぷりだった。
でもなあ。
恋愛部分がいただけない!
どうもこの小説は歴史ものじゃなくて、歴史ロマン、
それもロマンに比重が置かれているものだったようで・・・。
それだけならいいんだけど、
その描き方がな〜。
主人公の堀江くんは27歳だか8歳で、私とほぼ同い年らしいのに
彼女と話しながら突然一人で盛り上がりだして
「死ぬ程愛してる、出会えたのは運命だ」
みたいなことをしゃべりだす。
始終そんなかんじで、とても同い年とは思えなかった。
思い込み激しいタイプなんだなー・・・、たぶん。
台詞ではないけど、好きな女の人の描写もきつかった。
ラブシーンも。
とにかくじっと読めなくて、ささっと読み飛ばしてしまった。
女の人の造形(見た目だけじゃなくて、キャラクター含め)もなあ。
微妙だ・・・。
ぎこちないかんじがする。
男性作家が描いて、それに引いてしまう典型的パターン。
作家さんのロマンチック趣味は伝わったけど、
私が面白く感じたのはそこ以外の経験から来る部分だった。
文章自体も、これがデビュー作だからか、拙いかんじ。
ドキュメントタッチノベルとどこかに書いてあって、納得した。
たしかに。
小説的ではないような。
文句ばかり並べてしまったけど、面白い所もある小説。
ロマンチック部分がOKな人にはたまらないと思う。
そうでなくても、
外交官もの、近代歴史ものが好きな人は
一度読んでみるのはありかと。
軍事介入へ至る流れ等はかなり興味深い。
プラハの春そのものについては、wikiのページを参考までにリンクしておきます。
http://ja.wikipedia.org/wiki/プラハの春